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「命をつないだ難工事 ― 黒部第四発電所・高熱隧道の記録 ―」

奈良県をはじめ大阪・京都・神戸など関西一円で建設業を営む中村建設(株)のサチです。

Communication Forum 2026では、寿建設株式会社 代表取締役 森崎英五郎氏にご登壇いただき、「命をつないだ難工事 ― 黒部第四発電所・高熱隧道の記録 ―」をテーマにご講演いただきました。

AIやDXが注目される今だからこそ、多くの参加者の心を動かしたのは、約70年前の建設業の挑戦の記録でした。

日本の未来を支えた黒部第四発電所建設

戦後、日本は高度経済成長期を迎えます。しかし、その成長を支える電力が圧倒的に不足していました。関西地方では計画停電が当たり前のように行われ、産業の発展にも大きな影響を及ぼしていました。その危機を乗り越えるために計画されたのが、黒部第四発電所(黒四)です。日本有数の険しい山岳地帯に巨大なダムと発電所を建設するという、当時としては前例のない国家的プロジェクトでした。

「7割の見込みがあればやる」

この事業を推進したのが、当時の関西電力社長・太田垣士郎氏です。周囲からは反対の声もありました。成功する保証もありませんでした。それでも太田垣氏は、「7割の成功見通しがあれば実行する」という信念を持ち、プロジェクトを前へ進めます。

さらに工事を担う建設会社に対しては、それぞれの得意分野を見極めて指名しながらも、「予算は変えない。自信がなければ断ってくれ」と伝えたそうです。

困難な状況でも覚悟を持って決断する。

そのリーダーシップが黒部第四発電所建設の原動力となりました。当時、トンネル工事専門の会社となっていた森崎社長の祖父がこの事業に関わることになります。

上映された記録映画の中では、幅30センチほどの断崖絶壁にある道を進む様子や蒸気の上る洞窟内、真っ黒になりながら掘り進める人、ダイナマイトでの爆破など危険な環境だったことがわかります。

「高熱隧道」という極限の現場

講演の中でも特に印象的だったのが、「高熱隧道」の記録映像でした。ダム建設に必要な資材を運ぶための関電トンネル。その工事の中で、作業員たちは想像を超える自然の脅威に直面します。岩盤温度は最高175度。毎秒660リットルもの高温の地下水が噴き出し、さらには自然発火も起こる過酷な環境でした。

わずか80メートルを突破するために費やした時間は7か月。

現在の技術をもってしても難工事と言われる環境の中で、先人たちは知恵と経験、そして強い意志で道を切り開いていきました。

技術をつないだ「豊後土工」の職人たち

森崎社長のお話の中では、大分県出身のトンネル職人集団「豊後土工(ぶんごどっこ)」についても紹介されました。森崎社長の祖父もその一員として活躍され、日本のトンネル技術を支えてきた歴史があります。

技術は機械だけでは生まれません。

人から人へ受け継がれる経験や知恵があってこそ、次の時代へつながっていきます。寿建設株式会社の歩みも、まさにその技術継承の歴史の上に成り立っていることを感じました。

困難な時代だからこそ思い出したいこと

森崎社長は、この記録は単なる昔話ではないと語られました。「仕事で壁にぶつかったとき。経営で悩んだとき。思うように進まないとき。そんな時こそ、黒部第四発電所建設に挑んだ先人たちの姿を思い出してほしい。175度の岩盤と向き合いながら、社会の未来のために掘り進めた人たちがいた、その事実が、私たちにもう一度前を向く勇気を与えてくれるのだ」と。

現在、建設業界は人材不足や資材高騰、DX化など多くの課題に直面しています。しかし、先人たちが乗り越えた困難と比べれば、私たちにもまだできることがある。そんな力強いメッセージを感じる講演でした。

質問にも丁寧に答えていただきました。今回上映した工事を実際に担当した方達のインタビューがあるそうです。ぜひ、こちらからもご覧ください。

【設立60周年記念作品】”豊後土工(ぶんごどっこ)”のDNA

AIが進化し、働き方が変わる時代だからこそ、建設業の原点である「挑戦する心」と「社会を支える使命感」を改めて考える機会となりました。森崎社長、貴重なお話をありがとうございました。

 

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