

奈良県をはじめ、大阪・京都・神戸など関西一円で建設業を営む中村建設(株)のサチです。
10月10日、11日に平城宮跡で開催された「ずっと真夜中でいいのに。」のイベントに行ってきました。この2日間で平城宮跡には6万5000人もの人が訪れたそうです。実は今回、イベントそのものの楽しさはもちろんですが、それ以上に心を動かされたことがありました。それは、奈良という地域に対するリスペクトが、イベントのあちこちから伝わってきたこと。音楽を楽しむだけではなく、奈良の歴史や文化、そして地域で頑張っている人たちの思いまで大切にしている。その姿勢が、とてもうれしかったんです。

今回のイベントでは、奈良の伝統工芸と「ずとまよ」がコラボレーションしたり、奈良への熱い思いを持つ農家さんと限定商品をつくったりと、さまざまな取り組みがありました。どれも、単に人気アーティストの名前を使って商品をつくった、というものではありません。
◆ コラボグッズサイト「LEGACY ZOMBIE LABO」https://zutomayo.net/bunka_denrai_Item_netorder/
奈良がこれまで大切にしてきた文化や技術、地域の人たちの思い。そこに「ずとまよ」ならではの世界観や表現が加わることで、今までにない魅力が生まれていました。例えるなら、奈良と「ずとまよ」の個性をうまくブレンドしたら、想像以上においしいものができあがった、という感じです。
しかも、どちらか一方が目立つのではなく、それぞれのよさがちゃんと生きている。「ずとまよ」の感性をいれながらも、奈良らしさが失われていないことに、すごさを感じました。
会場となった平城宮跡は、かつて奈良時代の都が置かれていた場所です。奈良には、長い歴史の中で受け継がれてきた建物や技術、文化、そして人々の暮らしがあります。以前、飛鳥の遺跡について調べたときにも驚いたのですが、1400年以上前には、すでに水を導くための管や、大規模な土木工事につながる技術や発想が見られました。今の私たちが当たり前のように使っている土木技術にも、長い歴史の積み重ねがあります。そうした場所に立つと、奈良という土地には、目に見える建物や遺跡だけでなく、そこに暮らしてきた人たちの思いや価値観も積み重なっているのだと感じます。

奈良には、古くから続くものを大切にし、受け継いでいこうとする文化があります。今回のイベントがすてきだったのは、その歴史や文化を否定したり、無理に新しいものへ置き換えたりするのではなく、奈良が大切にしてきたものを尊重したうえで、新しい表現を重ねていたことだと思います。だからこそ、伝統と新しい文化が違和感なく混ざり合っていたのではないでしょうか。そして、地域を大切にしている人たちが、イベントをつくる側からも大切にされている。その気持ちが伝わってきたことが、何よりうれしかったです。

私たち中村建設も、奈良に根付く建設会社です。建物を建てるとき、求められるのは、ただ機能的で立派な建物をつくることだけではありません。その場所にはどんな歴史があるのか。地域の人たちは、どんな風景を大切にしているのか。そこに建物ができることで、街の雰囲気や人の流れはどう変わるのか。地域に建物をつくるということは、その土地の未来の風景をつくることでもあります。

例えば、近鉄奈良駅の玄関口にある大屋根。奈良県産のヒノキを使った柱や、空を取り込む透明な屋根など、奈良らしさを感じられる空間づくりが行われています。建物そのものだけでなく、そこを訪れる人がどんな空気を感じ、どんな印象を持つのか。地域の素材や景観を生かしながら、その場所ならではの魅力をつくっていくことも、建設業の大切な役割だと思います。
今回のイベントを通じて、改めて考えさせられたことがあります。それは、新しいものを取り入れることは、古いものを否定することではないということです。長く続いてきた文化や技術には、それが受け継がれてきた理由があります。だからといって、何も変えてはいけないというわけではありません。大切にしてきたものを理解し、その価値を尊重しながら、新しいアイデアや技術、人とのつながりを重ねていく。その重ね方がうまくいけば、どちらかを犠牲にするのではなく、それぞれの魅力をさらに引き出すことができます。今回の「ずとまよ」のイベントは、まさにそれを感じさせてくれるものでした。

中村建設も、これまで地域で築いてきた技術や信頼、歴史を大切にしながら、新しい技術や考え方を重ねていく必要があります。建設業界も、働き方も、街のあり方も変わっていく時代です。だからこそ、ただ新しいものに飛びつくのでも、昔のやり方にこだわり続けるのでもなく、「何を大切に残し、何を新しく重ねていくのか」を考えることが大切なのだと思います。そして、それを地域の人たちに受け入れてもらえるように、丁寧に組み合わせ、形にしていく。地域建設業として、そんな仕事をしていきたいと改めて感じました。

奈良の魅力を守りながら、新しい奈良の魅力をつくっていく。これからの中村建設にも、そんな視点が求められていると感じました。