

奈良県をはじめ大阪・京都・神戸など関西一円で建設業を営む中村建設(株)のサチです。
弊社社長の中村光良が代表理事をつとめる一社)地域建設業新未来研究会(CCA)にて、2026年初の会合が開かれました。

今回は、元建設省・国交省の官僚でもあり、土木学会の会長も努められた大石久和氏と見坂参議院議員の対談が行われました。

大石久和先生といえば、「国土学」の権威。「国土学」とは、単なる地理として見るのではなく、「国土(自然・地形・気候・災害史)と、人間の営み(インフラ整備・水利・都市づくり等)の関係を、国家の存続と繁栄という目的から総合的に考える枠組みを指しています。
道路局長時代の経験から、道路・橋・トンネルなどの整備は「国土に負担をかける」行為であり、その代わりに移動の利便、安全、豊かさといった「国土の恵み」を受け取っている。そして「国土に働きかけなければ、国土はより良い恵みを返してくれない」という当たり前の関係を、直感的に理解する言葉として「国土学」を使っているとのこと。
国土は「放っておけば良くなる」ではなく、「手を入れて守り育てる対象」として捉え直すことが重要と伝えています。
著書もたくさんあり、土木関係の仕事をしていたら何か1冊は読んだことがあるかもしれませんね。我が家にも3冊本がありました。

本書は、災害大国・日本に生きながらも、どこか危機を「自分ごと」として捉えきれない私たちの無自覚さに警鐘を鳴らし、国土と暮らしを守るために何が必要かを問い直す一冊です。
そして今、2026年になって、その指摘は現実味を増しています。とりわけ、社会保障費の圧迫によってインフラ関連予算が削られ、備えの弱体化が災害時の被害拡大につながりかねない状況は、本書が早くから示していた課題の一つです。2012年当時の“警鐘”が、改めて重く響く内容となっていて、今だからこそ読み応えのある一冊です。

2017年の発刊。著者が問題提起するのは、「危機感のない日本」そのものが、すでに危機を内包しているという点です。
誤った政治判断が積み重なった結果、日本は約20年にわたり十分な経済成長を実現できず、貧困の拡大を招いてきたという認識が出発点にあります。
その象徴として挙げられるのが、小泉内閣時代を例にあげて、「構造改革」という言葉だけが先行し、具体的に何をどう変えれば成長につながり、国民生活を豊かにできるのかという核心の議論が置き去りになったことです。国民もそのスローガンを支持した一方で、郵政民営化や道路公団の分断などの政策が進められても、期待された景気回復には結びつかなかったことをあげています。それは現在も変わらない状況が続いています。むしろ、その時よりも悪化している環境です。
おりしも、2026年1月に選挙が行われ、高市内閣の人気ぶりは小泉内閣時代を彷彿させます。
著者は、世論が「改革」という言葉に安心してしまい、肝心の政策論『何を、どう変えれば、成長し、暮らしが良くなるのか』を問わなくなることに警鐘を鳴らしています。政策の芯を捉えて物事を見ることができるか、それが日本復活の鍵と言えます。

本書は、日本が再興するために必要な視点を、「国土学」という枠組みから読み解く一冊です。言語学や日本人の死生観、地理学など多分野を横断しながら、日本という国の成り立ちと社会の癖を掘り下げ、これからの方向性を探ります。
2020年発刊というタイミングも象徴的です。コロナ禍を経験したうえでの執筆は、世界の中で見た日本の立ち位置や特徴を端的に浮かび上がらせています。
そのうえで著者は、日本再興の鍵として、根拠の薄い観念論に振り回されがちな国民性を見直し、事実と論理に基づいて「議論ができる国」へ変わっていく必要がある、と強く訴えています。